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水棲研生物図鑑

水棲研が見たり、採集したり、飼育している生き物ついて紹介をしていきます。随時更新!

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砂浜は磯や岸壁と比べると一見生き物が少なく、
海に採集に行っても釣り採集をするぐらいで
あまり注目されないエリアかと思います。

しかしそんな砂浜にもその環境に適応した面白い生き物たちがいます。

その中でも、今回は私にとって特に思い入れの深い
ハマスナホリガニ
Hippa truncatifronsを紹介したいと思います。


スナホリガニの仲間は名前に「カニ」とついていますが分類上は
ヤドカリに近い仲間
(異尾類)とされています。
とはいえゾエア幼生の形態などから、
カニ
(短尾類)と近縁なグループと考えられているようです。

彼らが暮らすのは砂浜の「波打ち際」。
スナホリガニの仲間は、波の動きに合わせて砂の中から現れ、
また戻っていくという運動をくり返しながら生活しています。
ハマスナホリガニのサイズは
がより大きく、
最大甲長
17mmほどになります。
♂では希に
10mm近い甲長のものもいますが、
基本的には
7mm位のものが多いと思います。

食性は生きた多毛類や小型の甲殻類を捕食するほか、
打ち上がった動物の死骸なども食べる肉食性。
ハワイでは、日本にも生息しているスナホリガニ 
H.marmorataが、
打ちあげられた猛毒のカツオノエボシに群がって
摂食する行動が報告されています。
海の掃除屋ならぬ海の地雷原処理車とでもいった感じでしょうか。


ハマスナホリガニはカラーバリエーションが
多い種としても知られています。
よく見られるのがこちらの灰色地に白い模様が入るタイプですが



白地に黒の模様の入るタイプ


中にはこんなシ〇ア専用機みたいなものまで。


ちなみに私はいままで500個体以上のハマスナホリガニを
見てきていますが、赤い個体はこの1個体しか見たことありません。
決して茹でても揚げてもいませんよ、念のため。

現在季節はすっかり秋ですが、
静岡ではこの時期になると紀伊半島以南に分布する南方系の種、
スナホリガニ
H.marmorataが出現します。


秋のみに出現する種であることから本種は黒潮に乗って
幼生がたどり着き冬には死んでしまう無効分散種であると考えられます。

2者は額角の数で容易に見分けることができます(ハマスナホリが1葉、スナホリが2)


ちなみに、現在日本にて記載されている
もう1種のミナミスナホリガニ
H.adactylaは額角が3葉あります。
実はミナミスナホリガニとおぼしき個体も採集したのですが、
小さすぎて確信が持てないのでここでは割愛
(;^_^A

みなさんも、静岡の砂浜に遊びに来た際は是非、
この可愛らしいハマスナホリガニ、
及びスナホリガニを探してみませんか?


他にも砂浜には愉快な生き物たちがたくさんいるので、
今後もその魅力を紹介していきたいと思います!

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