水棲研生物図鑑
水棲研が見たり、採集したり、飼育している生き物ついて紹介をしていきます。随時更新!
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あれは去年の6月ごろだったでしょうか。
当時の私は県内にある某砂丘において、
とある大型甲虫を探しておりました。
結果から言うとその甲虫は発見することができなかったのですが。
その砂丘にはヒゲコガネなど海浜性のコガネムシが数種類生息しています。
それらは比較的普通種で、同行者と共に無視していたのですが、
あるとき変なコガネムシを発見しました。
よく見ると何かの大顎がコガネムシの後脚を挟み、
砂に引きずり込もうとしているのがわかりました。
あわててスコップで「それ」をほじくり出すと、その全容が明らかとなりました。
なんと、巨大なアリジゴクだったのです。
写真では大きさがわかりづらいと思いますが、
通常のアリジゴクの2倍はあります。
オオウスバカゲロウ(Heoclisis japonica)です。
このアリジゴク、アリジゴクにも関わらず蟻地獄を作りません。
定住する巣を作らず、砂の下を移動し、通りがかった獲物を襲うのです。
そのため、このアリジゴクの通った後には砂中を移動した跡が残ります。
この後、その跡を目印にもう1個体を採集することができました。
獲物を待ち伏せるオオウスバカゲロウ幼虫
アリジゴク類の顎は特殊な構造で、大顎と小顎が癒合して
管状の吸収顎(きゅうしゅうがく)を構成します。
この吸収顎から獲物の体液を啜るのです。
ミルワームを捕食するオオウスバカゲロウ幼虫(飼育下)
獲物に食らいついた後は中々離すことがなく、
下図のように手に乗せて観察することもできます。
デュビア幼虫を捕食するオオウスバカゲロウ幼虫
アリジゴク類は蛹になると周りの砂を固めて繭になり、
その後脱皮して羽化し成虫になります。
今回は羽化のための足場を入れるのを忘れてしまったため羽が伸びきらず、
羽化不全をおこしてしまいましたが、
次に飼育することがあれば綺麗な成虫にしたいと思います。
また、オオウスバカゲロウは成虫になっても小昆虫を
捕食することで知られているので、それもぜひ観察してみたいですね。